中国でも教育熱心な家庭が増え教育水準があがり、ますます優秀な人材が世界で活躍するようになってきてないますが、日本と同じく格差の問題が中国にも存在し、社会問題となっています。
中国の場合、何が格差の原因となっているのを考えると、その一つとして戸籍制度の存在が非常に大きいようです。
中国の戸籍制度とはどのようなもので、中国人の生活にとってどんな影響を与え、どんな格差を生んでいるのかを見ていきましょう。
中国の戸籍制度とはどんなもの?
中国の戸籍は2種類あります。
1つは農村戸籍、もう一つは都市戸籍とよばれています。
この農村戸籍と都市戸籍という中国特有の戸籍制度とはいったいなんなのでしょう?
内訳としては農村戸籍が約6割、都市戸籍が約4割といわれています。どちらとなるかは生まれながらに決まってしまっているのです。
- 農村で生まれた人は農村戸籍
- 都市部で生まれた人は都市戸籍
すべての中国人の戸籍はどちらかに分けられています。
中国の戸籍による制限
中国の戸籍制度は1950年代後半に都市住民の食糧供給を安定させ、社会保障を充実させることを目的に導入されました。
ではこの戸籍制度によってどのような制限があるのでしょうか?
- 日本人のように自分の意志で勝手に引っ越しできない。
- 農村戸籍の人は、都市に移住する際、都市戸籍のひとと同等の医療・社会保障を受けられず、住民サービスは本籍地でしか受けられない。
- 子どもを都市の公立学校に入学させることもできない。
- 子どもが就学年齢に達したら、戸籍地に帰して祖父母に世話をしてもらい、親子が離れ離れになる。
- 都市で働く出稼ぎ労働者は農村戸籍のまま都市で働く
- 結婚やマンション購入などに制限がある
- 都市戸籍はもともと都市に住む限られた人たちのもの
中国の友人に聞いてみたところ、2022年現在も都市戸籍と農村戸籍が存在し、都市戸籍の人は、農村戸籍の人に比べて、圧倒的に有利な内容となっているようです。
教育面でのデメリットと格差
都市戸籍と農村戸籍の違いにより中国国内のあらゆるところで、さまざまな格差を生んでいます。
そのなかでも教育面では非常にあからさまな差別があります。
まず子どもを都市の公立学校に入学させることができません。
大学入学時には、大都市に戸籍を持つ学生が優遇され、経済水準の低い農村戸籍の学生は不利なんです。
成績順ではなく、なんと大学合格者の割り当て人数が各省ごとに異なっているんです。
つまり北京市出身者と、遼寧省出身者では、同じ北京大学を志望しても合格ラインは異なり、北京出身者の方が圧倒的に合格しやすいんです。
以前は成績がよければ都市の大学に進学できたんですが、現在は北京大学や復旦大学などの農村出身者の合格者は全体の2割程度しかないと言われています。
条件付き戸籍と勤務先団体戸籍
もともと中国には農村戸籍の人が都市の大学に進学するために、一時的に与えられる戸籍で『条件付き戸籍』というものがあります。
大学に在学中に限り、医療や福祉などの社会保障が受けられます。ただし卒業したら、基本的に戸籍は元の戸籍に戻されてしまいます。なので条件付きなのです。
次に勤務先団体戸籍というものもあります。これは仕事の都合上与えられるもので、社会保障などを受けられます。
いずれにしても、一時的な不安定なもので、中国では農村に生まれたら、都市の人より何倍も努力する必要があることに変わりありません。
まとめ
日本では出身地によって東京大学に入学できる合格ラインが異なるなんてことはありません。また、引っ越しも好きな時に、好きなところに自由にできます。
しかし中国の農民は少しでも生活楽にしたいと、農業に従事しては貧困から抜け出せないと、みんな懸命に生きているのです。
今中国の都市部に長期の出稼ぎにでる人は、なんと一億人を超えるそうです。しかしこの戸籍問題はなかなか解決しません。
コメント