半導体プロセスエンジニアという職種をごぞんじですか?ものをどうやって作るかを考え、実際に形として実現していく仕事です。
ものの作り方はどんどん進化していきますし、時代によって何に主眼を置いて作っていくかの考え方も刻々と変化していきます。
また、半導体プロセスエンジニアは、半導体製造プロセス全体に関わる重要な役割を担っています。前工程(ウェハー加工)から後工程(パッケージング・組み立て)に至るまで、さまざまな工程を分担・担当し、製品の品質向上や効率化を図ることも求められます。
この記事では、半導体プロセスエンジニアの仕事内容や必要なスキルについて、前工程と後工程の視点を交えて詳しく解説します。さらに半導体業界を目指す方に就活・転職活動に必要な情報も合わせてお伝えしたいとおもいます。
半導体プロセスエンジニアの役割
半導体プロセスエンジニアは、製造工程を通じて半導体製品の品質、コスト、納期を最適化するために重要な役割を果たします。彼らは、設計段階から製造に至るまで、工程ごとに発生する問題を解決し、製品を市場に供給する過程を支えます。特に、製造プロセスの改善や効率化を進め、競争力のある製品を生み出すための中心的な役割を果たします。
前工程のプロセスエンジニア
前工程では、半導体ウェハーの作成と微細な回路の加工が行われます。この段階では、光リソグラフィー、エッチング、化学蒸着(CVD)などの技術を用いて、シリコン基板に回路パターンを形成します。ウェハーの品質管理と最適化が重要で、微細な欠陥が後の工程に影響を及ぼすため、慎重な監視とデータ分析が求められます。
後工程のプロセスエンジニア
後工程では、完成した半導体チップをパッケージに組み込み、外部端子との接続を行います。ダイボンディングやワイヤボンディングを用いて、チップとパッケージの間に電気的な接続を行います。その後、封止技術を使って半導体を外部環境から保護します。その後半田付や測定、検査を行い製品出荷までをカバーします。
4. 半導体プロセスエンジニアの業務の流れ
1.ライン構想
プロセスエンジニアは、立案された事業計画に基づいて、対象となる製品の数量、品質、価格、納期などを精査し製造ラインを構築するために、最適な設備配置や作業フローを設計します。これには、生産性や品質向上を目指したレイアウトの決定も含まれます。
生産ラインの自動化についての構想・進め方についてはこちらの記事も参考にしてください。
2.設備構想
ラインの構想が完了したら想定した加工方法がうまくいくかどうか予備実験をおこない、
結果がOKであれば半導体の製造に使用する設備の選定や設計を行います。設備の仕様や導入計画を立案し、製品の品質や生産効率を最大化できるようにします。
設備は社内の設備開発部門による内製の場合もありますし、外部の設備メーカーに発注する場合もあります。
3.ライン・設備立ち上げ
設備製作が終わり工場に搬入・設置されたら立ち上げを行います。
新しいラインや設備を導入する際の立ち上げ作業もプロセスエンジニアの仕事です。設備の稼働確認や試運転を実施し、ラインが安定して動作するように調整します。
メカ担当者、電気・ソフト担当者、製造や保全担当者に協力してもらいながら想定した動きとなるまで粘り強く調整作業を行います。
4.帳票類の作成と標準化
ラインを生産技術から製造側にリリースするには標準書や帳票類の準備が必要です。電化製品を買ったのに取説がないと困りますよね。生産ラインや設備に関しても同じで、生産の安定性を保つために、帳票類の作成と標準化を行います。これにより、作業手順や工程運用の基準を明確にし、品質のばらつきを防ぎます。
5.製品立ち上げ
新しい製品の製造を開始する際には、製品立ち上げを担当します。試作・量産のプロセスを通じて、製品が市場に出るための準備を整えます。いくら設備が動いていても製品の機能が十分でないとラインの完成とはいえません。
これらの仕事もプロセスエンジニアが行う場合もあれば、会社によっては製造技術という部門が担当する場合もあります。
これらの結果がベンチマークに対して、同等または同等以上となって初めて製造側にラインをリリースする事ができます。
6.不良低減・稼働率アップ
量産移管会議が終わり、生産技術から生産ラインが製造側にリリースされたらいよいよ量産が開始されます。ラインの立ち上げ当初は歩留まりが安定しません。予期せぬ不良項目もどんどん出てきます。製造過程で発生する不良品をしらみ潰しに観察して問題点を洗い出し、改善策を講じます。これにより、ラインの稼働率を向上させ歩留まりアップを行います。
7.コストダウン
最後に、製造コストを削減するための工夫を行います。設備や材料の無駄を省き、効率的な生産体制を構築することが求められます。
量産が開始され軌道にのってきたら、設備の保全部品や消耗品にも注意を向けましょう。半年も生産をすればいろいろな情報が集まります。生産記録や保全記録、チェックシート、現場への聞き取り情報などいろんなコストダウンのネタを探しましょう。
半導体プロセスエンジニアの仕事内容とスキルまとめ
プロセスの設計と最適化
半導体プロセスエンジニアは、まず製品に最適な製造プロセスを設計し最適化を図ることが必要です。最も効率的で品質の高い製造方法を見つけ出します。
工程管理
次に、設計したプロセスを実際の製造現場で実行し、問題が発生した場合には改善策を講じます。製造工程で更なる最適化を進め、品質やコスト、納期の改善に取り組むことが求められます。
品質管理と品質改善
プロセスエンジニアは、製造中の製品の品質も管理し、品質問題が発生した場合には迅速に対応します。品質管理の一環として、定期的なテストや評価を実施し、改善策を講じることが重要です。
生産ラインでの技術サポート
また、半導体製造の現場で発生する問題に対して、技術的なサポートを行うこともエンジニアの役割の一部です。製造ラインの効率を維持し、安定した製造環境を提供するために、エンジニアは現場におもむき直接支援を行います。
半導体業界で働くためのキャリアパス
半導体プロセスエンジニアは、製造業界において非常に重要な役割を果たす職種です。エンジニアとしてのキャリアを築くには、まずは半導体製造の基礎を理解し、技術的な知識を深めることが必要です。その後、さまざまな製造技術を習得し、プロセスの設計や最適化を担当するポジションへとステップアップしていきます。
半導体プロセスエンジニアは、前工程と後工程の両方を通常両方手がけることはなく、担当がわかれていますが、今後のキャリアを目指すには両方の知識を得ることは非常に強いと思います。
半導体プロセスエンジニアの役割は、製品の品質向上、製造効率の改善、コスト削減などに大きく貢献し、半導体業界における競争力を維持するために欠かせない存在なのです。技術的な知識や問題解決能力を活かし、日々進化する製造技術に対応し続けられるよう日々の自己研鑽が求められる職種です。
今から半導体業界を目指す、就活・転職希望者の方々はプロの力を借りるのも有効な手段です。半導体に特化したエージェントを紹介しているこちらの記事も参考にしてください。
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最後までお付き合いいただきありがとうございました。
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