「半導体業界の材料選定」とは?エンジニアが知っておくべき8つの確認ポイント

技術職

半導体業界において、材料選定は単なる購入作業ではありません。製品の品質や製造効率にも直接影響を与えるので、企業の競争力にも直結するほどの重要なプロセスです。また半導体製造業では、使用する材料そのものが最終製品のパフォーマンスを左右します。パッケージングに使用する接着剤や樹脂、基板など、材料の選定一つで信頼性や寿命が変わるため、適切な選定が求められます。

グローバルサプライチェーンの中で、必要な材料をタイムリーに調達し、継続的に供給可能な体制を整えることは、企業が業界内での優位性を維持する上で非常に重要なことです。そのため、材料選定は技術的な評価とビジネス戦略が融合した高度な業務といえます。

本記事では、半導体エンジニアや製造技術エンジニアが行う材料選定の難しさや、具体的な確認ポイントを解説し、半導体業界を志望する方に対してこの分野の理解を深められるようにお伝えします。

材料は製造技術エンジニアが決める

材料選定は基本的に製造技術エンジニアが担います。彼らは製品開発の要求を満たしつつ、コストや生産性を考慮して最適な材料を選定します。この役割には深い専門知識と経験が必要であり、エンジニアリングとマネジメントの両面を兼ね備えるスキルが求められます。

材料選定は一見すると「最適なものを選ぶだけ」のように感じるかもしれません。しかし、実際には多くのファクターを考慮し、複雑な意思決定を行う必要があります。例えば、材料の供給安定性や品質の一貫性、価格交渉、法規制への適合性などが絡み合い、選定業務は高度な調整力を必要とします。

材料選定で必要な確認事項

製造技術エンジニアが材料を選定する際には、以下のポイントを細かく確認します。これらをクリアしなければ、半導体製造における作業性や安定性、品質が損なわれる可能性があります。

1. 国内か海外か?

まずは材料の調達先が国内か海外かを判断します。海外からの調達はコストやリードタイムの観点で有利な場合がありますが、輸送中のトラブルリスクや、為替変動の影響を受ける可能性も考慮する必要があります。

2. 信用できるサプライヤか?

サプライヤの信頼性を評価することも重要です。以下のようなチェックが行われます

  • 品質監査と工程監査の実施:サプライヤの製造プロセスや品質管理体制を直接確認します。
  • 品質のばらつき管理:材料のばらつきが一定範囲に収まるよう管理されているかをチェックします。

3. 必要なドキュメントが揃っているか

信頼性のあるサプライヤは、以下のようなドキュメントが適切に提供できます。これらの資料を提示できるかどうかは、サプライヤの実力を測る一つの指標となります。

  • QC工程表
  • 品質保証体系図
  • 検査規格
  • 工程フロー
  • 納入仕様書

4. 納入リードタイムとMOQ(最低発注量)の適正性

材料が必要な時に供給されなければ、製造ラインが停止してしまいます。サプライヤが提示する納入リードタイムが許容範囲内であるか、またMOQ(最低発注数量)が生産量を勘案して無理のない量であるかは非常に重要です。さもないと社内に材料在庫が多くなり大きな問題となってしまいます。

5. 使用期限は明確か?

半導体製造に使用される材料には使用期限があるものが多く、期限切れの材料を使用すると製品不良につながるリスクがあります。また過度に短い使用期限だとデッドストックとなってしまいます。そのため、リードタイムやMOQと合わせて使用期限の締結も製造が技術エンジニアにとって重要な確認項目です。

6. 利益を確保できる価格か?

価格面でも十分な検討が必要です。定期的なコストダウンが可能か?また価格の内訳を明確に提示しもらえるか?など材料費の透明性と、長期的なコスト削減の可能性は、材料やサプライヤを選定する際の重要なポイントです。

7. 要求仕様を満たしているか?

材料がユーザーや開発チームの要求仕様に適合していることは、最優先事項です。電気的特性や機械的強度、熱的安定性などの仕様がクリアできない材料は採用できません。少なくとも同等品をいくつか並べて比較表をつくり、コストを含めて多角的に1番要求仕様に近いものを検討するプロセスは必ず行いましょう。

8. 梱包仕様は適切か?

材料の梱包がロジスティクスや倉庫での取り扱いに適しているかも確認します。不適切な梱包は輸送中の破損リスクを高めるため、注意が必要です。私の失敗談ですが、直接工場へ入荷せず貸し倉庫で一時保管し、使用量に合わせて工場へデリバリーする体系を取ろうとした際、その材料の梱包サイズが貸し倉庫の棚サイズに適合せず、サイズを急遽見直すことになったことがあります。

まとめ

材料選定は、半導体製造プロセスの中で品質や製造安定性、作業性を左右する重要なプロセスであり、製造技術エンジニアは多岐にわたる要素を考慮しながら最適な選択を行う必要があります。

材料選定はサプライヤの信頼性やコスト、納期など、多くの要素を考慮したうえで最適な選択を行う必要があります。この業務には、技術的な専門知識とビジネス的な視点が求められるため、エンジニアリングの中でも非常に奥深い分野です。

「材料選定」というテーマを深く理解することで、半導体エンジニアの仕事の奥深さや責任感を感じられることでしょう。そして、就活や転職活動においても「半導体材料選定の重要性」を語れる人材になれば、企業側からの評価もきっと高まるはずです。

半導体業界を目指す方にとって、このような知識を事前に理解しておくことは、今後の就活や転職活動に大きなアドバンテージとなります。

もし、この記事で紹介した材料選定のプロセスに興味を持たれたなら、半導体業界で必要なスキルや知識を体系的に学べる就活エージェントの利用をおすすめします。例えば、半導体Jobエージェントやタイズなどでは、業界に特化した情報を提供し、企業とのマッチングをサポートしてくれます。

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